
みなさんこんにちは。
新発田市の歯医者【ハート歯科クリニック】です。
「赤ちゃんにむし歯は関係ない」と思っていませんか?
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、むし歯の原因となるミュータンス菌は存在しません。
しかし、むし歯菌は親御さんや周囲の大人のだ液を通してうつることがあるため、早い時期からの注意が必要です。
そこで今回は、「赤ちゃんのむし歯はいつから気をつけたらよいか」「親からうつるのか」「効果的な予防方法」について解説します。
目次
■赤ちゃんのむし歯はいつから注意が必要?
赤ちゃんのむし歯予防は、最初の乳歯が生え始める時期からスタートします。
多くの赤ちゃんは生後6か月前後で初めての乳歯が生え始め、この頃からお口の中に少しずつ細菌がすみつくようになります。
その中には、むし歯の原因となるミュータンス菌が含まれる場合もあり、早い段階からのケアが大切です。
特に気をつけたいのが生後1歳半〜3歳頃。
この時期は、少しずつ親と同じような食事に移行する時期で、親子で食器を共有したり、スキンシップの機会が増えたりする一方で、お子さま自身はまだ十分に歯磨きができません。そのため、むし歯菌がうつりやすく、感染リスクが高まる時期となるのです。
■親のだ液でむし歯がうつるって本当?
むし歯の原因となるミュータンス菌は、だ液を通して赤ちゃんの口の中に入り込み、定着することで感染が起こります。
そのため、だ液を通して感染する可能性があり、これを「母子感染」や「水平感染」と呼びます。
日常の中では、次のような場面で感染のリスクが高まります。
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スプーンやお箸を親子で共用する
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キスなどで唇にだ液が触れる
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大人が口で冷ました食べ物を与える
ただ、まだ小さな赤ちゃんに対してスキンシップや食事の介助を完全にやめることは難しいですよね。可愛い赤ちゃんにキスをしたくなる気持ちもわかります。
大切なのは、むし歯にならない環境を工夫することです。
日常のちょっとした配慮で、赤ちゃんのむし歯リスクを軽減することができます。
■感染を防ぐためにできる4つのポイント
◎親御さんの口の中を清潔に保つ
赤ちゃんにむし歯菌をうつしてしまう主な感染経路は、一番身近な家族からが多いといわれています。そのため、まずは親御さん自身の口腔ケアを整えることが大切です。
子育てで忙しい時期ではありますが、定期的に歯科でのクリーニングを受け、むし歯や歯ぐきの炎症を放置しないようにするのが理想です。また、歯ブラシに加えて、フロスや歯間ブラシを使うことで細菌の量を減らす効果が高まります。
◎甘いものを控える
むし歯菌は食べ物の糖分をエサにして酸を作り、歯を溶かします。
お菓子やジュースなどの砂糖を多く含む飲食物を控えることで、菌が増えにくい環境を維持できます。
特に注意したいのが、哺乳瓶で甘い飲料を長時間飲む「哺乳瓶う蝕」です。
寝る前の授乳や飲み物は特に気をつけましょう。
◎歯が生え始めたら歯磨きを始める
乳歯が見え始めたら、ガーゼや赤ちゃん用の歯ブラシでやさしく磨きましょう。
最初は慣れるために1日1回、寝る前のタイミングから始めてくださいね。
少量のフッ素入り歯磨き剤を使うことで、歯の表面を強くし、むし歯を防ぐ効果が期待できます。
◎だ液の共有を減らす
完全に避けるのは難しいことも多いですが、スプーンやお箸を共有したり、大人が口で冷ました食べ物を与えたりするのはできるだけ控える・回数を減らすなどの工夫をすることも大切です。
赤ちゃん専用の食器を用意し、口移しや唇へのキスはできるだけ避け、代わりに頬やおでこに触れるなど、口にだ液がつかない形でスキンシップをとると安心です。
■キスやスキンシップを完全に避ける必要はあるの?
「うつる」と聞くと、スキンシップそのものを避けたほうがいいのではと不安になる方もいるのではないでしょうか。
しかし、親子のふれあいは赤ちゃんの心の安定や成長にとってとても大切なものです。
大切なのは、スキンシップをやめることではなく、感染のリスクを上手に減らす工夫をすることです。
たとえば、
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むし歯がある場合は早めに治療を受ける
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食事の前後に歯磨きやうがいをする
といった工夫を意識することで、愛情をしっかり伝えながらも、安心して感染予防を行うことができます。
■むし歯になりにくい環境を整えましょう
赤ちゃんのむし歯は、親のだ液を介して感染することがあります。
しかし、「菌がうつるからむし歯になる」わけではありません。
むし歯菌が口の中に入っても、砂糖の摂取を控え、丁寧な歯磨きを続けることで発症を防ぐことができます。
そのため、歯が生えたらケアを始める、砂糖の多い飲食を控える、親の口内を清潔に保つ、だ液の共有をできるだけ減らすことを意識して健やかなお口の環境を整えましょう。
