みなさんこんにちは。
新発田市の歯医者【ハート歯科クリニック】です。
「子どもの歯並びが心配……。」
「なるべく痛みの少ない方法で治してあげたい」
そう考える保護者の方に注目されているのが、取り外し式のマウスピース型矯正装置である「マイオブレース」と「プレオルソ」です。
これらは、ワイヤーとブラケットで動かす従来の矯正とは異なり、お口まわりの筋肉のバランスを整えて、歯並びが悪くなる原因そのものにアプローチするという、子どもの成長期に適した治療法です。
そこで今回は、この2つの装置の違いやそれぞれの特徴、どのようなお子さまに向いているのかを詳しく解説します。
目次
■「マイオブレース」とは?
マイオブレース(Myobrace)は、オーストラリアで開発された装置で、5〜15歳くらいまでの成長期のお子さまを対象としたマウスピース型の矯正治療です。
歯並びが乱れる原因の多くは、舌の位置・口呼吸・指しゃぶり・唇や頬の筋肉のバランスなど、日常的な口腔習慣にあります。
マイオブレースはそれらを改善しながら、自然な歯列・顎の成長をサポートする装置です。
■マイオブレースの主な目的
マイオブレースは、「歯並びが悪くなる原因の根本」を改善して、歯列にきちんと歯が生えてくるように促すことを目的としています。
◎舌の位置の悪さを整える
舌が上顎につかず、前歯を押すなどの舌癖があると、出っ歯や開咬(かいこう)の原因になります。
◎口呼吸を改善する
鼻呼吸ができず常に口が開いていると、顎の発育や歯列に悪影響が出ます。
◎口周りの筋力を鍛える
口周りの筋肉のバランスが悪いと、口がぽかんと開いてしまうことが多くなります。
口が空いた状態が続くと舌の位置が下がりやすくなり、その結果、舌や頬の筋肉から歯にかかる力のバランスが乱れることで、歯が正しい位置に並びにくくなります。
■マイオブレースの装置の特徴
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対象年齢:5〜15歳程度
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シリコン製などのやわらかい素材でできた取り外し式マウスピース
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歯並びだけでなく、呼吸・舌の位置・口周りの筋力などの「口腔機能」を整える
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装置だけでなく、舌や口の使い方を改善するトレーニング(MFT)とセットで行う場合もある
◎マイオブレースの使用方法
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日中は1時間程度
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就寝中は装着して寝る
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専用トレーニング(MFT)は週に数回、歯科医院や自宅で実施
◎マイオブレースのメリット
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ワイヤー矯正と比較すると、痛みを軽減できる
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将来、抜歯矯正やワイヤー矯正の可能性が少なくなる
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呼吸や姿勢の改善にもつながる
◎マイオブレースの注意点
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効果を得るには保護者のサポートやお子さまのモチベーションが重要になる
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毎日継続して装着・トレーニングする習慣化が大切
■「プレオルソ」とは?
プレオルソ(Pre-Ortho)は、日本の矯正専門医が開発した装置で、マイオブレースと同じく筋機能訓練型の矯正装置です。
日本人の骨格や成長パターンに合わせた設計が特徴です。
◎プレオルソの装置の特徴
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対象年齢:主に3〜10歳前後(乳歯列〜混合歯列期)
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やわらかく柔軟性のある素材
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上下顎前突(口ゴボ)用、反対咬合(受け口)用、開咬(噛んだ時に前歯に隙間ができる)用など症状別に設計されている
◎プレオルソの使用方法
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日中1時間+就寝時の装着
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MFT(口腔筋機能療法)と併用することでさらに効果が見込める
◎プレオルソのメリット
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お子さまも慣れやすいやわらかい素材
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噛み合わせや症状に応じた装置の選択が可能
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口腔機能トレーニングとも組み合わせやすい
◎プレオルソの注意点
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装着の継続が必要(途中でやめると効果が出にくい)
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お口の成長に合わせて、段階的なサイズ調整が必要になる場合もある
■マイオブレースとプレオルソどちらを選べばいいの?
マイオブレースもプレオルソも、「歯並びの原因にアプローチする」点では共通しています。
お子さまの状況によって歯科医師と相談の上、選択する必要がありますが、ポイントをご紹介します。
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年齢が低く、初めての装置に不安があるお子さまにはプレオルソが向いている
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口呼吸や姿勢など、包括的な改善を希望するならマイオブレースが適している
お子さまの状態に応じてその他の矯正装置をご提案することもできますので、お子さまの歯並びが気になる場合がお気軽にご相談ください。
■どちらも歯並びが悪くなる前に始めることが大切
マイオブレースもプレオルソも、共通するのは「原因から整える早期予防型の矯正」という点です。
永久歯がすべて生えそろう前に治療を始めることで、将来的にブラケット矯正やマウスピース矯正といった本格的な矯正や、抜歯を回避できる可能性もあります。
そして、大切なのは、「正しい呼吸・舌の位置・姿勢」などの生活習慣を身につけることです。
お子さんの成長に合わせた方法を選び、歯科医院と一緒に継続的に取り組んでいくことが、理想的な歯並びへつながります。