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歯と歯科コラム2018年04月17日

<平成30年4月17日>

「歯と神経」
今日は、[歯と神経]について、お話をします。
虫歯の治療で、歯の神経をとるとか、残すとか、そんな話を聞いたことがあるかと思います。みなさんは、歯の神経ってどんなものかイメージできますか?僕は小さいころ、歯の中に太い紐みたいな神経があるのかと思っていました。でも、実際には、そういうわけではありません。歯は中心部が空洞になっています。中に、「歯髄(しずい)」という組織が詰まっていて、これは淡いピンク色のプルンとしたものです。そこに血管や神経などが入っています。中にある血管や神経は、残念ながら、細かすぎて肉眼では見えません。

歯髄炎と神経

歯そのものは空洞で、中身は「歯髄」という淡いピンク色のプルンとしたもので、そこに「血管や神経」が入っているというお話をしました。
虫歯で歯がズキズキ痛む時などは、「歯髄(神経)」が炎症を起こしています。その状態を「歯髄炎」と呼びます。多くは、虫歯が進行して、細菌が歯髄(神経)に達していることが原因です。他にも、強い温度刺激が原因になることもあります。歯髄炎になってしまうと、痛みが強く、対処としては、神経をとること(抜髄する)になります。
でも、歯医者さんは、できるだけ神経をとりたくありません。望みがありそうなら、可能な限り、残しておきたいと思っています。

歯髄(神経)は歯の守り神

虫歯が歯の深部まで進行し、どうしようもない時、神経をとる処置を行います。でも、ぎりぎり残せるかな、どうかな、というときは、治療後に「しみるかも」「少し痛みが残るかも」という可能性があっても、できるだけ残すことを選びます。
理由は、歯に歯髄(神経)が残っていると、いいことがたくさんあるからです。
まず、歯の強度が増します。当たり前ですが、中身がなくなった空洞の柱は、もろいものです。歯髄(神経)をとって代わりの詰め物で補強しても、咬む力に負けて根が折れることもあります。神経がある歯の方がやはり強くて長持ちします。さらに歯髄(神経)は、歯の内部で少しずつ「象牙質」を作り続けてくれます。虫歯になったところを削って取っても、そのあと歯の内部から補強してくれるのです。
虫歯を治療して、そこにかぶせ物をしても「しみる」ことがありますが、象牙質ができてくると、徐々にその症状も軽快してきます。せっかく頑張って治療しても、「しみる」なんて、ちょっと辛いのですが、ズキズキ我慢できない痛みでなければ、歯髄(神経)が象牙質を補強してくれるのを待つ方が、歯にとっては助かるのです。
また、もうひとつ良い点に、虫歯が重症化する前に、痛みやしみる感覚で、教えてくれるということがあります。もし歯髄(神経)がなければ、痛みや違和感を感じることなく、気付かないうちに虫歯が進行することがあります。
このように、歯髄(神経)は、歯にとって、とても大事な役割を持ちます。
歯の神経は目には見えませんが、縁の下でいつも歯を守っています。

参考文献
世界基準の臨床歯内療法
石井 宏著